岸見一郎先生の著書「嫌われる勇気」で注目を集めているアドラー心理学。
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アドラー(1870-1937)は、かつてフロイトと共に研究をしていましたが
考え方の相違から決別し、独自の「個人心理学」を構築した人物です。
その学説はフロイト理論とは大きく異なります。
例えば、苦しみの原因を過去の出来事に求めません。
アドラーはそもそも’原因’を求めることすら否定し、トラウマも嘘だと言い切ります。
この考え方、私はとても好きです。
変えられない過去に原因を求めても仕方ないと思いますし
過去の思い出したくもない出来事と向き合い、消化し、乗り越えるのはシンプルに辛いですから。
学生時代にいじめられていたので、不安で外出できない。
もともと暗い性格なので、職場の同僚と馴染めない。
よく聞くフレーズですね。
こういう理由・原因があるから~~できない。
アドラーはこうした「原因論」を否定します。
もちろん、過去の出来事が今の自分に影響していることはあります。
ですが、これからの行動を過去が決定した、ということは決してありません。
全ての行動には目的があるという「目的論」の立場を取ります。
何か行動を起こそうとした時、でも・・・と過去に原因を求める考え方は
「目的」を隠す為にしている思考だというのです。
先の例でいうと、こんな感じになります。
外出しないという「目的」の為に、過去のいじめられた経験を利用して不安という感情を生み出している。
職場の同僚と打ち解けたいが、気を遣ったり、うまく話せなかったり、嫌われるかもしれない。
これらのリスク・ストレスを回避する「目的」の為に、自分の性格を利用している。
悩み苦しんでいる人からすると、冷たく、突き放された様な印象を受けるかもしれません。
しかし、過去はただの出来事であり、意味づけを行うのは自分自身です。
街行く人達からいじめられることはないので、外出といじめは結び付きません。
同僚と上手くやりたいのであれば、自分から話しかければ良いですし
人間関係にストレスを感じるのが嫌であれば、仕事に打ち込めば良いのです。
それでも、会社に行きたくなーい!傷付くのが怖ーい!という「目的」は少々格好が悪いですから
過去の出来事に原因を求めてしまうのかもしれませんね。
カウンセリングと聞くと、何となくマイナスのイメージを持つ方もいらっしゃると思います。
過去の思い出したくない出来事を話さなくてはならないのか?
辛い思いをしてトラウマに向き合わなければならないのか?
ケースによっては、原因を解消するプロセスが有効な場合もあるでしょうが
トラウマの様な大きな出来事に焦点を当てていくのは
それと向き合うだけの心的体力と時間が必要になってきます。
ですから「過去」よりも「未来」、「できなかった事」よりも「現在できている事」に
目を向けられる様なセッションを心がけ
もやもやを晴らすお手伝いしていきたいと思っています。
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